1 はじめに
「家族と急に連絡が取れなくなった」「警察から連絡がきた」「犯罪を犯したものの一旦自宅に帰された」というような場合、逮捕という言葉が頭に出てくることと思います。
しかし、逮捕された場合にどうなるのかということを知らなければ不安に押しつぶされることになります。
逮捕に関する知識を事前に持っておくことが不安を取り除くために必要となりますので、逮捕に関する知識を紹介します。
2 逮捕とは
逮捕には、①通常逮捕、②現行犯逮捕、③緊急逮捕の3種類があります。
通常逮捕とは、犯罪の嫌疑がある場合に、警察官が事前に裁判所に逮捕令状の発付を求め、発付された逮捕令状に基づき逮捕するというものです。
現行犯逮捕とは、現に犯罪を行い、犯罪を行った直後に者に対して、事前の逮捕令状の発付なしに逮捕するというものです。
緊急逮捕とは、一定の重大犯罪について、充分な嫌疑があり、急速を要するため逮捕令状を事前に求めることができない場合の逮捕をいいます。
3 逮捕されないためには
逮捕するためには、①逃亡を疑う相当な理由と②証拠隠滅等を疑う相当な理由が必要となります。
このような要件を満たさない逮捕は違法な逮捕となります。
逮捕されないためには、住居や定職がある、身元引受人がいる等逃亡をしないことや誓約書の提出等証拠隠滅をしないことを警察官に説得する必要があります。
但し、現行犯逮捕については、警察官だけでなく一般人にも認められていますので、取り押さえられた時点で既に逮捕となります。
しかし、同様に逃亡や証拠隠滅等の行為をしないことを説明することにより早期の釈放が認められることがあります。
4 逮捕された後の流れ
逮捕された場合には、そのまま警察署の留置場に拘束されることになります。
そして、携帯電話の使用をすることができなくなり、外部と連絡をとることができなくなります。
逮捕中、取り調べが行われることになりますが、警察官は、48時間以内に検察官に事件を送致(送検といいます。)し、検察官はその後24時間以内に最大20日間の拘束手続である勾留手続を行うか判断します。
したがって、逮捕された場合、逮捕された時から72時間以内に釈放されるか、それとも長期の拘束かが決まることになります。
なお、この72時間以内には、家族、友人等弁護士以外の方は、逮捕された方と面会することができませんので、ご留意下さい。
5 最後に
逮捕された場合、ご家族は面会できませんし、仕事がある方の場合その対応方法に悩むことになります。
そのため、まずは逮捕を防ぐことが最重要になります。弁護士の役割としては、逮捕の必要性がないことを意見書として提出したり、逮捕された場合の対応方法を検討することになります。
また、逮捕された場合には、弁護士以外の方は面会することができませんので、早急に弁護士が警察署まで面会に伺い、どのような状況か、今後どのように対応するのかを打ち合わせすることになります。
そして、72時間以内に示談を進めること長期間の拘束がされないよう裁判所と交渉することになります。
刑事手続は時間との勝負と言っても過言ではありませんので、早急にご相談下さい。