罪を犯した場合、逮捕や勾留がなされ、警察署に留置されることがあります。
罪を犯した以上、罰を受けることはやむを得ませんが、逮捕、勾留という身体拘束は刑罰ではありません。
また、不必要な身体拘束により、会社を解雇され、家族が離散する等社会復帰が困難になることは望ましくありません。
したがって、不必要な身体拘束から解放することは重要な課題となります。
逮捕による拘束
逮捕による身体拘束に対しては、法律上の不服申立手続はありません。
しかし、逮捕は逃亡や罪証隠滅を防止するために行うものですから、逃亡や罪証隠滅を行う可能性がないことを説明し、早期の釈放を求める交渉を行うことは可能です。
勾留に対して
勾留による身体拘束に対しては、法律上不服申立手続が定められています。
裁判官に対して、当初から逃亡や罪証隠滅の可能性がないことや示談の成立等事情の変化により逃亡、罪証隠滅の可能性が無くなったことを理由として不服申立を行うことができます。
このような不服申立手続を行うと、裁判官は無視することができず、何らかの判断を示さなければなりません。
単なる交渉とはこの点において大きく異なります。
起訴後について
起訴された後、裁判官により判決が言い渡されるまでの間も身体拘束は続きます。
起訴後、多くは警察署から拘置所へ留置場所が移動することになります。
起訴後の身体拘束に対しても、逃亡や罪証隠滅の可能性がないことを理由とする不服申立手続が定められていますが、重要な不服申立手続として保釈の制度があります。
保釈とは、保釈保証金を裁判所に納め逃亡した際には保釈保証金が没収されるとの条件で、罪証隠滅の可能性がない場合に認められる身体拘束解放の手続です。
保釈の制度は起訴後のみ利用することができます。
また、保釈保証金は150万円以上が相場であり、一括で納付することが求められますが、逃亡することなく裁判を終えると後日返還されます。
最後に
以上のような身体拘束解放の方法がありますが、逃亡や罪証隠滅の可能性がないことを説明的に主張するためには、本人の誓約書、示談の成立、身元引受書、反省文、就労証明書等資料が必要となりますし、取調べ、現場検証等捜査の状況によっても変化するものですので、不服申立を行うタイミングについても慎重に判断しなければなりません。